「リハビリ難民の再挑戦②」

医療

大分県

2010年10月30日(土)

 10月29日の記事の続きです。高次脳機能障害の人が社会復帰をするには困難があります。一見、身体的には健康に見えても、疲れやすかったり様々な障害があるということを、会社や同僚に理解してもらわなければならないからです。また、一人で借家探しをしたり、障害者の申請手続きをするのは大変です。そうした部分をソーシャルワーカーが手助けしてくれるのが、社会福祉法人農協共済別府リハビリテーションセンターの施設の特徴のひとつです。まもなく退院してひとり暮らしを始めようとする施設入所者を取材しました。

「きょうのキズナ」~社会復帰のための支援~

 別府リハビリテーションセンターでは、1人の患者に対して最低7人のスタッフがサポートをします。医師、看護師、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、社会福祉士などです。

「浴槽の高さを相談員と一緒に確認中」

 患者が退院後、どこでどんな暮らしをするかを想定してリハビリのプログラムを組みます。買い物は多くの患者に必要なことですし、VTRに出てきた、ひとり暮らしをする予定の松岡さんは、施設のスタッフと一緒に物件を見て、麻痺(まひ)の程度に合わせて、アパート内の段差や使い勝手まで、アドバイス、フォローをしてもらっていました。

 事故や病気で一旦仕事を離れた患者にとって、一般生活へ戻るというハードルは簡単に超えられるものではありません。地域に根ざしたリハビリテーション施設が、市役所や社会福祉事務所、患者の就職先や地元の不動産業者とかけあって、障害と症状について説明し、協力を求めてくれます。

 身体機能のリハビリだけではなく、一歩踏み込んで社会へ送り出すところまでケアしてくれることが、この施設からの社会復帰率の高さの秘訣だと、取材をしてみてわかりました。これからの世の中に求められるリハビリテーションのひとつの形だと思いました。

「きょうのキズナ」~家族ができるサポート~

 事故や病気をきっかけに人格が突然変わってしまったな、というご家族がいれば、一度病院に相談してみてください。現在、高次脳機能障害だという診断を受けるであろう患者数は、約30万人いると推計されています。

 

「高次脳機能障害:記憶障害」

「高次脳機能障害:注意障害」

「高次脳機能障害:遂行機能障害」

 

 リハビリテーション専門医・渡邉修医師の著書『高次脳機能障害と家族のケア』によると、高次脳機能障害の回復には、患者の障害に合わせた日常生活のフォローが大切です。VTRに出てくださった大橋さんのように、記憶障害や注意障害がある方には、"必ずメモをとる"という習慣作りをする。遂行機能障害がある方には、段取りを書いたメモを家の中のあちこちに貼っておく。反側空間無視をしてしまう方には、こっちにも料理があるよ、と注意を促す声かけをすると、患者は気づくことができます。

 ポイントは、失敗をしないことです。以前は出来ていたのに、なぜこんなこともできないのだろう...と患者のやる気をそぐ結果にならないように、障害によって低下した機能を代替するサポートをすることがスムーズな社会復帰につながります。

「希都菜のつぶやき」

 今回の取材を通じて、患者の回復には、医師や看護師だけではなく、多くのスタッフのサポートが大きな貢献をしていることを知りました。別の視点からのアプローチとリハビリで、患者本人も家族も快適な社会生活を送ることができるようになるきっかけになればいいなと思います。

今回の取材協力先

社会福祉法人農協共済別府リハビリテーションセンター TEL:0977-67-1711
 


投稿者:平川 希都菜 |  投稿日時:2010年10月30日(土) 00:00

コメント

「見えにくい障害」。そういえば、うちの近所にも計算だけできないおばあちゃんがいらっしゃいました。その事実をご本人が受け入れることもたいへんだと思いますが、一般的な知識として「見えにくい障害」のことをみんなが知っておくということも大切なのかなと思いました。

投稿者:すぴか |  投稿日時:2010年11月2日(火) 16:15

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