「離島航路 第八くしま」

ノンジャンル

愛媛県

2010年12月4日(土)

 「今回は離島よ」と米山デスクからメールが。ネットの情報も少なく、もちろん、乗り換え案内検索も該当なしの離島航路です。

 ところで、日本は島国なのですが、一体いくつ島があるのかと思ったら、財団法人日本離島センターのホームページ、しましまネットによると、6,852の島があります。そんなにたくさん!?と思われた方、多いんじゃないでしょうか。私は島の名前を10そこそこしか言えないかも。

 島で暮らす人の足を支えるのが“離島航路”です。国土交通省四国運輸局によると、平成21年4月現在、日本全国303の離島航路のうち、106航路が国の補助対象となる赤字経営です。しかし、島民にとって離島航路は道路を走る車と同じで、生活を支える大切な交通手段です。赤字だからといって、簡単にやめられては困ります。

 今回の取材対象は、たった1隻のフェリーで農村住民を支えるべく、日本で唯一JAが運航している離島航路「第八くしま」です。

 

「希都菜の感想」

 不便だろうな、というのが第一印象でした。海がない長野県で育った私には、フェリーで通勤・通学、出かける光景がとても新鮮にうつりました。株式会社えひめ南汽船の常務、赤松剛さんがおっしゃっていたのですが、島民にとっては、航路はあって当たり前のもので、私たちにとっての道路と同じなのですね。

「希都菜の発見」~生活のすべてを運ぶ~

「第八くしまの航路」

 人も食べ物も郵便も、車も、ゴミ収集車のような公共のサービスも、すべて第八くしまが運んでいます。この離島航路がなければ、1,000人余りの九島の人の生活はストップしてしまうのです。台風がきたとき、船長の山下秀久さんが運航の判断に悩んでいたのもわかります。山下船長の判断次第で、会社や学校を休まなくてはならなくなったり、明日の食材足りるかしら?などの心配をしなければならないのです。

 驚いたのは、町内放送。誰のお宅に荷物が届いたかをスピーカーで町全体に知らせます。各家庭に配達されるのではなく、集配所に個人が荷物を受け取りに行くのです。宅配便はどうしているのですか?と聞いてみると、宅配便は宇和島市までしか来ないので、第八くしまの船員さんがフェリーに積みこんで、九島の各港の集配所まで運んでくれるそうです。“宅配”じゃないんです。 

 「希都菜のギモン」~島の暮らしに不便はないの?~

 都会に生まれ育った人から見れば、交通や買い物が不便に思えるですが、九島で生まれ育った人にとって、ここでの暮らしが当たり前で、中学生、高校生になれば、宇和島市へフェリー通学をするのが“普通”なんです。買い物も、農協ストアーに行けば、必要なものはひと通りそろっているので、離島航路があれば日々の生活は大丈夫と多くの島民が感じているそうです。

 私は朝よく電車に乗り遅れてしまうのですが、4分待てば次の電車が来ます。1日9便のフェリーに乗り遅れたら、毎日遅刻です。読みたい本も、帰りに深夜まで開いている本屋さんで買うことができるので、便利だなと思いました。しかし、九島の人は、不便さや、欲しい物が今すぐ手に入らないことに不満を感じるのではなく、離島航路や農協ストアーを頼りにしているのです。

 「平成17年には、2隻あったフェリーを1隻に減らすことになったのですが、そのことについて、島民に不安がなかったとは言いません。しかし、不安をぶつける人もなく、もめることもありませんでした。船員は全員九島出身。島での暮らしをよく分かってくれていて、それでも減らさざるを得ない状況であることは島民も船員も誰もが理解しているのだと思います。そして、一方で、あって当たり前の離島航路が無くなるとは全く想像もしていない、というのが、島民の航路に対する信頼と、ある意味おおらかな気構えでもあるのかもしれない」と、赤松さんは話しておられました。

 病院は、宇和島市国民健康保険九島診療所があるので、みなさんその診療所を利用しています。しかし、大きな病気や救急の場合は心配です。海を渡って救急車がすぐに来ることはできません。宇和島市が医療フェリーを持っているので、定期便とは別に対応してくれますが、橋があれば、もっと早く、必要なときにいつでも救急対応ができるのになと思うのです。もちろん、島民も橋が架かることを望んでいます。しかし、橋を架けるには、多額の費用と時間がかかります。

「きょうのキズナ」~橋が架かるまでは~

 フェリーは1日9往復。島民の1日1日の暮らしを支えています。しかし、フェリーの償却期間はとっくに過ぎていて、部品交換やメンテナンス費も重みます。赤字の補てんは、国、県、市からの補助を受けてなんとか経営を維持しています。

 一方で、平成3年から、九島架橋促進委員会が、宇和島市と九島に橋を架けようと補助金の申請や陳情を繰り返し、調整を進めています。その願いと努力のおかげで、今年、平成22年度から測量などの調査が始まりました。市の試算では、橋を架けるには、約69億円の事業費がかかります。実現には、費用面以外にもまだまだ乗り越えなければならない課題がたくさんあります。しかし、赤松さんはじめ、えひめ南汽船の船員たちは、“橋が架かるまでは自分たちが島民の暮らしを守る”という思い一心に安全運航に気をつけています。島で育ち、お互いの家族親戚まで知り合う仲だからこそ、助けあい、信じあって、唯一の交通手段を守り続けていけるのかもしれない、と思いました。

今回の取材協力先

株式会社えひめ南汽船 TEL:0895-22-8111

投稿者:平川 希都菜 |  投稿日時:2010年12月4日(土) 00:00

コメント

なんだか寅さんが出てきそうな感じです。荷物が届いたのをスピーカーで知らせるのには、びっくりすると同時になんだかほんわかした気持ちになりました。フェリーのみなさん頑張ってください。それにしても島のみなさん素敵です。「知足」むかし教科書で習ったなぁ。

投稿者:すぴか |  投稿日時:2010年12月8日(水) 21:00

九島は僕の両親、祖父母の生まれ育った島で僕も小学生の時は夏休みになると母や父につれて行ってもらいました。紹介されているフェリーの「第8くしま」のことを島の人は「くしま丸」と言って親しんでいるようです。現在は過疎化が進み1000人ほどらしいですが僕の両親が子供の頃は6000人以上住んでいて年に数回お祭りなども賑やかに行われていたそうです。また機会があれば是非訪れてみたいです。

投稿者:小川 吉和 |  投稿日時:2011年10月17日(月) 23:23

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